【ボードゲーム迷ったらこれ! Vol.053】
今回は、趣向を変えましてゲームブックを紹介しようかなと思います。いや、ゲームブックといってもpdfだったので正確にはブックではないのだけれども……しかし、このpdfで配布されている事にも意味がある、幾重にも積み重ねられた重厚な、そして全部でたった100しかパラグラフのないゲームブックなのです。
目次
基本情報
人数 | 1-1人 |
時間 | クリアまで6時間くらい?6日くらいにわけて到達 |
発売 | 2020年 |
言語依存度 | 日本語版のみです |
ルールの複雑さ | 5分で理解できる |
遊ぶならどんな時? | 久しぶりにゲームブックやろうと思った時 |
ゲームブック?
まず、ゲームブックについて知らないという方に向けて、ほんのちょっとだけゲームブックについて書きます。知ってるよ!な方は、無理せずささっと進んでください。
物語の文章を読み進めると数字によってストーリーが分岐していき、その数字が書かれたページまで本の中をパラパラ移動して続きを読むという物です。船長が子供の頃は300とか400くらいの数字まであるようなゲームブックがあって、ドラクエもFFもゲームブックがありました。
他にもたくさんのゲームブックが発売されていた頃があります。今もゲームブックは出版されていますが、当時の量は本当にスゴかったと思います。船長はファミコン禁止されていた時代にはゲームブックでもよく遊んでました。
好きだったのは、ドラクエ1ですね。
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他にも、魔神英雄伝ワタル、虹のシルクロード、スーパーマリオブラザーズ3などなど……解くのに時間がかかるので、なかなか良い時間を過ごせる物でした。
今はプレミア価格になっている物がほとんどですが、当時は古本屋などで買っていて高いお値段ではありませんでした。
かまいたちの夜
そして、時代はスーパーファミコンへ。かまいたちの夜で初めて遊んだ時……あ!これはゲームブックだ!とつながって、ゲームブック熱がまた上がっていったのでした。
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かまいたちの夜の場合、次の選択肢を選ぶと結果が表示されるので、何をどう選んだのかは覚えておかなければいけませんでした。ゲームブックの場合、数字を記録しておけばいつでもセーブやロードが出来るので、その部分は不便だな~というところもありました。
デジタルの利点としては分岐の仕方がより細かく出来るようになっていたり、見えないところでフラグが立って結果が変わってきたりと、かまいたちの夜もだいぶ楽しませてもらいました。デジタルにするとこうなるんだなぁ進化するなぁっていう感覚は新鮮でした。みんなピンクのしおりまで頑張ったよね?
パラグラフジャンプ
その後、しばらくゲームブックには触れていなかったのですが、イエサブでチョコレートナイトに出会って移動中などに読み進めて解いてました。
当時のゲームブックには、ページごとにサイコロが書いてあってペラペラっと選ぶとサイコロを振る事が出来たり、アナログの良さを存分に活かした本だったのは間違いありません。
そして「パラグラフジャンプ」という言葉もこの頃に理解します。
通常であれば、文章内に次に読むべき数字が書かれているので「よーし、次は14か!」などと軽々しく進んでいく物です。しかし、パラグラフジャンプの場合は、今まで読んできた中にアイテムや知識などがあり、例えば「25と書かれた紙」を持っているならその数字を今のパラグラフに足した先へ……といったように、アイテムや知識がないと次に行けなくなってしまいます。
これが謎解きになっていたり、複数アイテムを組み合わせて足し算や掛け算をさせてきたり、数字を使った数学的なギミックになります。
パラグラフジャンプのせいでしばらく同じ文章を読み直す事も多かったです。面白いけど大変……というイメージはありました。
「パラグラフジャンプを超えて」との遭遇
そして時代は変わって世の中はSNSが活用され、電子書籍が当たり前になり……ゲームブックも進化を遂げなければいけないのかな?という時に「パラグラフジャンプを超えて」を紹介されました。
ゲームマーケットに行くたびにFT書房のクトゥルフなゲームブックはちょこちょこと買っていましたが、チャレンジングなタイトルという感じはなく、空き時間に攻略していけるなぁという感じで遊んでおりましたが、今作はなにしろ難しかった。ノーヒントは無理でしょ?と思う程に。
全体的な紹介
作者は梧桐重枝(ごとうじゅうし)。pdfで、印刷すればたった3枚で作られています。パラグラフ総数は100。普通に上から読んだら、おそらくほんの10分程度の内容になります。脱出ゲーム×ゲームブックと銘打たれています。
印刷するとすぐにわかりますが、1枚だけ白黒が逆転しているページがあります。
主人公を紹介すると、記憶をなくした者です。洞窟の中にいて、何が何だか覚えていない……そんなスタートです。この洞窟から脱出すればいいのかな?
リプレイ (若干のネタバレあり)
ここからは紹介ではなく、船長が遊び倒した記録をお見せいたします。楽しさを損なうほどではないと思いますが、もしもネタバレが嫌だ!という方は、ここから撤退をオススメします。
第1段階:洞窟の中
5月初め頃、遊ぶぞと意気込んで印刷。まずは洞窟をうろつくぞー!と始まった脱出へのチャレンジ。洞窟の構造はそんなに複雑ではなさそうだ……というか、ちょっと歩いたらもう全て歩ききったのでは……?
袋小路に遠回りをするか、すぐに辿り着くかの違いくらいしかありません。んーむ、やっぱりゲームブックといっても100しかないから複雑な分岐が始まったりはしないんだなぁ。しかし袋小路に来た時に「2回目以上のベテランは」という何度もループした時に有効な分岐があるのです。
そして、初回、偶数、奇数で3つに分岐。といっても、船長はソロのゲームにおいて偶数奇数の事などは3回目以降は無視しますよ?プレイヤーが行きたいパラグラフに行ける緩さは重要ですね。
というわけで、1回目を読み、2回目にどう戻るのかを調べたら、もしゲームオーバーで最初からでもここから再出発しようと心に決めて初回へ進みました。
そして、やはりとしか言いようがない初回ゲームオーバー?で1に戻されてしまいました。既に分岐は全部確認しているので、袋小路までローディング。2回目だもんね!で……あれ!?同じところに飛ぶのかよ!
つまり、3回目に行かなくては……まあ、もしかしたら偶数回の数字に行った時に意味があるのかも?と思っておきましょう。
ちょっと関係ないですが船長は大人になってから文章の好き嫌いが激しくて、読みたくない文章はほぼ読めません……しかし、パラグラフジャンプを超えての文章は短くて読みやすいので大丈夫そう。簡潔でわかりやすいのは助かります。
第2段階:現実?
さて、3回目になると急に舞台が変わってしまいました。おや?今までのお話は物語の中の物語だったのかな?突然主人公は澤井康夫に変わります。ついでにいうと、ここは2ページ目。ページが変わると世界が変わるのかな?
澤井康夫はゲームブック作家……メタな感じがします。執筆中の無理がたたって入院中のようで、編集者とお話をしています。
夢を見ている時に、1ページ目で現実に戻ると2ページ目って事かな?ちょっと遠目に紙を見ると明らかにパラグラフの量が違っていて、読み物っぽい部分がかなり続きます。
ここでも分岐はしていますが、どちらにせよ結局結末は1ページ目のパラグラフへ戻るようです。薬も獲得しました。まず、飲むと決めたら特定のパラグラフに行って戻って来いという物……こういう時はアイテムと一緒に数字も書いておきましょう。そして、こんな時はまず飲む!その効果を確認しておくのです。
なるほど、パラグラフごとにタイトルがついているようですが、そのタイトル内に特定の何かが含まれていると別なパラグラフに跳べるようになるのか……よし、飲んでなかった事にして進もう!(ゲームブックやる時は、いつもこんな事ばっかりやってます)
そして1ページ目に戻ったので、今まで通った道から特定のルールを探す旅へ……さっそく1つ目を発見。パラグラフジャンプ!
薬を飲んでアイテムゲット!アイテム名と一緒に数字もメモメモ……行った先もまた薬を飲んでいればジャンプ出来る!そーれ、パラグラフジャンプだ!またしても2ページ目に行けるようで……しかし、2ページに行ったら世の中がバグっていってしまいます。なんだこれは……?もしかして、明らかにバグってるパラグラフに跳べるのか……?
3ページ目の最後は100である事を確認。つまりバグってる選択肢は選べないので、あれ?1に戻るのか……
他にも、薬の効果で一瞬だけ3ページ目に入ったりもしましたが、進めるという事ではなく。
ここでしばらくループしてしまい……もう!どうすりゃいいの!よく読んでなかったのか!?素数を数えて落ち着いて……はい、そうでした。よく読んでませんでした。
ちゃーんと読まなかった船長が悪いんですよ。きちんと読んで謎が1つ解けました。他にも謎の文言が色々書かれているんだろうな、ここ……グランドクロスかアルマゲスト食らっちゃうんだろうか。
第3段階:暗黒迷宮
手に入れるべき物を手に入れ、ついに踏み込んだ3ページ目……とにかく黒い!さらに言うと、ここは最初のダンジョンと比べると本格的。分岐点1つにつきパラグラフをいくつか使っていて、いちいち向きの変更が出来るようになっています。
地図を作った方が良いのかな……?なんとなく書き始めてみましたが、部屋ごとにパラグラフ3つくらいあるので、大枠で3つ数字を書いてその行き先を書いて……え?この地図、かなり大きい紙じゃないとダメぽいなぁ……
めんどくさい!と思って、とりあえず総当たり的に、そして感覚的に色々読んで進める方式でしばらくうろうろ。ギミックのある部屋を発見したのと、ゲームオーバーっぽくなる部分があったり。んーむ、一方通行的なところはなさそうだ。
ギミックのある部屋で保存。めんどくなったら、そこからやり直し!という事にしてとにかくうろつき続け……わかりません……どうしたらいいんですか、これ……
迷いに迷って
ええい!こうなったら!アドベンチャーゲームで言う総当りだ!いったん暗黒迷宮の入り口からパラグラフに色を塗るのだ!そうすれば、今まで来た事のある道全てを回避出来るぞ!この方法で船長はただひたすらにパラグラフに色を塗り続けたのです。
その結果……とある1つのパラグラフを除いて3ページ目全てのパラグラフに色がついてしまいました。あれ!?つまり、正攻法では辿り着けない!パラグラフジャンプしなくてはいけないのだ!数字もわかってるけど、どうやって行けるのか、理由がわからない!
正解の数字はわかっていても、そこに飛ぶ理由がわからないので進めない……本当にどうしてもわからず。ええい、ネットで現実逃避だ!
そこにヒントをくれる妖精さんが現れたのです……
「船長……DMを通じて心に直接語りかけています……早くTwitterを見るのです……」
な、なんだってェー!Twitterを見ればヒントが!?確かに今までの文面でTwitterの存在は示唆されていたのですが、本当にあるのか!そして、それを見るのはヒントじゃないのか……?
疑問もありつつ、Twitterで確認……ああ、このパラグラフに飛ぶ理由が出来た……!
そしてENDへ
ここから先は自分の目で確認するんだ!という逃げぜりふを使って、船長の攻略日記は終わるわけです。全体の2/3くらいをあまりネタバレしないようにしつつ書きましたが……クリアするまでの時間はみんなで共有したいよね?
船長は、その後も謎をいくつか解いて無事エンディングまで辿り着く事が出来ました。
感想
まず、安すぎる。これを300円で売るなら、もっと長いゲームブックはいったいいくらで売るつもりなのか。いくらpdf3枚だからといって、こんな価格ではいけないでしょう。もっと強気にお願いしますよ?
とはいえ、挿絵がないのはちょっと寂しいです(だから安いのか!)
メタな感想を書くと、twitterがヒントになるのはいかがなものか?と最初は思いました。
ただ、わからない言葉は辞典を引くように、わからない箇所があってヒントになりそうなら検索するのは現代的に間違ってない。令和のゲームブックはSNSくらいは普通にパラグラフジャンプのヒントに使ってくるぞという宣言でもあります。
だとすれば、今後はもっとネット依存なゲームブックが現れても良いし、パソコンに処理を一瞬任せるゲームブックが出てくる可能性もあります。その時は、諸手を挙げて賛同しましょう。
それが、デジタルが当たり前にある時代のアナログゲームとの付き合い方だと思うのです。ゲームブック版のノックスの十戒がまるであるかのように考えてゲームブック本編の中からのみヒントを探してしまったけれど、その文章内に全てを記述していなくても良かったはずなのです。そんな未来が見えても良い!
つまり、ゲームブックもまだまだ将来がある分野だなぁと思える、安くて濃い口のpdf3枚しかないゲームブック、パラグラフジャンプを超えては、皆様にオススメであります。
ちなみに新作も頒布になるそうです。作者の力量を測る意味合いでも、まずはパラグラフジャンプを超えてみて、新作もトライしてみるのはいかがでしょうか。
船長のご紹介で面白そうかな~?なんて思ったら、試しに買っちゃうべし!作者のやる気につながりますよ!
頒布開始までノーヒントだそうで、船長がしつこく色々聞いたけど教えてもらえませんでした。
きっと全米が泣いちゃう名作なのかな!?(テキトー)
https://booth.pm/ja/items/2859564
BOOTHで300円で買えます。さあさあ、まずは入り口に立ってみよう!ぐっと楽しい数時間が始まりますぞ!?
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基本的に大好評のようです。